JCSSに関するQ&A |
計量法トレーサビリティ制度の目的は?
高度化する技術革新に対応する高精度の計量標準の確立と広く産業界をはじめ各分野へ量及び質にかなう安定した計量標準を円滑に供給できるシステムを整備することにあります。さらに供給した計量標準は国家計量標準とのつながりがあることを対外的に証明できることにあります。
認定事業者って何?
認定事業者は独立行政法人製品評価技術基盤機構が認定し、一般ユーザーに対して計量器の校正サービス等を行い国家標準にトレーサブルであることを証明するロゴマーク(JCSS)付の校正証明書発行及び計量標準の供給を行います。
認定事業者は計量器の校正等を適正かつ円滑に行うに必要な技術的能力をもち、それを維持管理できる体制が整っていることが条件となっております。
JCSSロゴマークって何?
Japan Calibration Service System の頭文字をデザインしたもので認定事業者のみが使用を許可されたロゴマークです。
トレーサビリティ制度って何?
「Traceable であること」すなわち「元をたどることができること」という意味ですが計量標準におけるトレーサビリティ制度とは「企業等が持っている標準器(計量・計測の基となる計量器)」又は標準物質の値がどの程度の精度で国家計量標準(国際標準)とつながりをもっているかということを明確にする体系をいいます。実際上は校正の道筋が企業等での計量結果から国家計量標準まで切れ目なくつながっていることであり、このシステムを作り維持して個々の計量結果が統一された一般性のあるものとすることであると言えます。質量に関するトレーサビリティ体系図はこちらからダウンロードできます。
計量法校正事業者認定制度って何?
計量法第143条に基づき計量器の校正等の事業を行う者を認定する制度のことです。
校正事業者認定制度についての詳細は、以下のリンク先を参考にして下さい。
【独立行政法人製品評価技術基盤機構 校正事業者認定制度(JCSS)】
http://www.nite.go.jp/iajapan/jcss/index.html
不確かさって何?
簡単なイメージで言いますと、測定によって得られた値(測定値)が「真の値」に対して生じる可能性があると想定される誤差範囲と考えて下さい。実際、可能な限りの厳密な測定や補正を行いましても「真の値」を知る事は不可能です。そこで、測定する上で考えられる誤差の要因(測定方法・測定回数・浮力の違い・使用する測定機等)をひとつひとつ抽出して、それぞれの要因を客観的に数値化し合理的に総合的に算出されたものが不確かさです。
ちなみに、このようにして得られた不確かさを「標準不確かさ」と言います。しかし、これだけではまだ「測定値」と「真の値」との誤差がその標準不確かさの範囲に含まれているかどうかは、確率的に十分といえません。校正証明書に記載されている不確かさはこの標準不確かさに”包含係数k”(k=2)を乗じて拡張不確かさであらわされています。
k=2の場合、測定値(校正証明書に記載の協定値)±不確かさの値の内に「真の値」が含まれている信頼の水準は約95%と考えられます。
協定値って何?
温度20℃において、空気の密度を1.2kg/m3とし、標準器及びそれと比較校正を受ける分銅(以下、被校正分銅)の密度を 8000kg/m3とした時の質量をあらわします。
当社に於ける協定値は被校正分銅の公称値に対して±何mgかであらわしています。
即ち、公称値100gの分銅に対し協定値+2.0mgである場合は、その分銅の質量は協定値で100.002gとなります。
公称値100gの分銅に対し協定値-2.0mgである場合は、その分銅の質量は協定値で99.998gとなります。
記号が「+」の時は、公称値よりその分重く
記号が「-」の時は、公称値よりその分軽いということです。
校正証明書に有効期間が無いのはなぜ?
分銅は、その使用頻度や使用環境によって質量の変化が大きく異なってきます。お客様の使用内容の実状にあった校正周期を決めてご利用下さい。
校正ランクって何?
不確かさの項で述べましたように不確かさの要因は多々ありますが、その中でも測定方法や測定回数は大きな要因になります。精緻な測定方法や数多くの測定を行えばそれだけ精度の高い測定結果を得られます。しかし、そうする事によってコストが嵩むだけでなく、納期的にもお客様にご迷惑をかけることになります。
従いまして当社では、校正の精度をランク分けしてお客様が必要とされる校正精度での校正を合理的に行えるようにしています。
当社では分銅の精度に応じて校正ランクを以下のように推奨しています。
基準分銅や精密分銅に対しても校正証明書は発行出来ますか?
どんな種類の分銅やおもりであっても、校正証明書は発行できます。但し、校正の結果が正常に維持できないと考えられる器物については、修理を行えば校正する事は可能です。
修理不可の器物については、校正証明書の発行をお断りする場合もあります。
特定二次標準器って何?
特定標準器等(国家計量機関が保有するもの)により校正された標準分銅で、校正事業者(JCSS認定事業者)が管理する最上位の分銅です。
常用参照標準器って何?
- 分銅及びおもりの校正事業者の場合
上位の認定事業者により特定二次標準器に連鎖して校正された分銅であって階層化された校正事業者の管理する最上位の分銅です。 - はかりの校正事業者の場合
特定二次標準器により校正された又は特定二次標準器に連鎖した計量器により校正された分銅及びおもりであって、校正事業を行う際の標準器として使用します。
ワーキングスタンダードって何?
特定二次標準器又は常用参照分銅をもとに校正された分銅で実際の比較校正業務に用いられます。
分銅に関するQ&A |
OIML(国際法定計量機関)って何?
仏語の Organisation Internationale de Metrologic Legale (英語の International Organization for Legal Metrology)の頭文字を約して表したものです。
「取引」に使用される機器の技術基準を、世界的に統一することを主目的に1955年に設立されました。日本は1961年に加盟、現在では52ヶ国が加盟しています。
標準分銅、基準分銅、精密分銅はどう違うの?
- 基準分銅
特定計量器(検定付商品)の公的検査に使用するもの。都道府県計量検定所が基準器検査を行い基準器検査証印が打刻されます。また基準器検査成績書が発行されます。
特級基準分銅は合否判定と器差の数値が記載されます。1級、2級、3級分銅は器差が基準器公差内であれば、合否判定と器差0と記載されます。
基準分銅の種類 | 有効期間 |
特級 | 3年 |
1級 | 5年 |
2級、3級(鋳鉄製以外) | 5年 |
2級、3級(鋳鉄製) | 1年 |
【検査を受検できる方】
都道府県知事、特定市町村の長、指定定期検査機関、届出製造事業者、届出修理事業者、適正計量管理事業所、計量士
※上記以外の方は受検出来ません。
- 精密分銅
特定計量器であり、都道府県計量検定所で検定に合格した分銅。検定証印が打刻されます。
- 標準分銅
特定計量器(検定証印付計量器)以外の一般ユーザーが使用するはかりのチェック及び分銅の校正に使用されており、社内標準器としての位置づけから標準分銅と呼ばれています。
ISO9000シリーズの認証用として利用されるには、この標準分銅にトレーサビリティの証明が必要であり、JCSS校正証明書の取得が不可欠です。
弊社は、OIML(国際法定計量機関)規格に基づいた非磁性ステンレス鋼製標準分銅を製造しており、またJCSS認定事業者でもありますのでISO9000認証用のJCSS校正証明書付の分銅であれば、是非弊社にお申し付け下さい。
分銅の材質(ステンレス鋼、真鍮、鋳鉄)による精度変化及び計量器への影響ってあるんですか?
【ステンレス鋼製分銅】
弊社がOIML型分銅の材料として使用しているステンレス鋼は、特殊な高硬度・非磁性材料です。腐食・摩耗への耐性が強く、分銅の精度変化(質量変化)が極めて少ないといえます。また、電磁力平衡式はかりなど高分解能の電子式はかりは周囲や計量皿上に強磁体があることで測定に有意な影響があると考えられています。弊社では材料受入れ時に、磁性特性に対しても非常に厳格な社内受入検査試験(OIML規格要求事項に基づく)を実施しています。このため、弊社のOIML型分銅は磁性特性の面からも計量器への影響は限りなく少ないものと考えられます。
【黄銅製(クロームメッキ仕上げ)分銅】
黄銅生地のままでは腐食しやすいのでクロームメッキ仕上げをしなければなりません。しかし、メッキをしても管理状態によっては剥がれたり薄くなったりして質量変化を起こすことがあります。
クロームメッキ処理をすると、このメッキ膜層のため磁化率が高くなり高精度な計量器の場合には影響があります。
【鋳鉄製(焼付塗装仕上げ)分銅】
鋳鉄の場合非常に腐食しやすいためペンキを塗って表面処理をしていますが剥がれやすく非常に質量変化の多い材質です、磁気分極(磁化の値)も非常に高いので計量器(特に電磁力平衡式はかり)には影響が出やすいものです。